前回までは「自然な」脂肪酸についてお伝えました。
今回は、「不自然な」脂肪酸についてお話しします。
不自然な脂肪酸って何?
それは、「トランス脂肪酸」です。
海外ではすでに「毒」として厳しく規制されているのに、
日本では今だに野放し状態になっています。
トランス脂肪酸には2種類あります。
一つは、天然のトランス脂肪酸で、
動物の肉や乳に5%程度含まれています。
もう一つは、人工的に作られた不自然なトランス脂肪酸です。
今回は、人工的に作られた不自然なトランス脂肪酸にフォーカスします。
常温で液体の不飽和脂肪酸の分子構造は、
次のようになっています:
H H
\ /
C = C
/ \
<シス型>
炭素と炭素が二重結合でつながっていて、
二つとも同じ側の手に水素が一つだけくっついています。
これを「シス型結合」といいます。
この水素が一つだけくっついている手は酸素と結びつきやすいので、
酸素がくっつくと「酸化する」ということになります。
なので、二重結合が多い脂肪酸ほど酸化しやすいということになります。
つまり、多価不飽和脂肪酸をたくさん含む植物油は、酸化しやすいのです。
これを避けるために、「水素添加」というものが考えられました。
「水素添加」とは、
炭素と水素の結合が欠けているところに、
無理やり水素をくっつけることです。
水素添加をすることで、
不飽和脂肪酸である植物油を
酸化しにくい「みせかけ」の飽和脂肪酸に変えることができます。
つまり、水素を添加することで
片方の炭素と水素のつながりを
逆側に「トランス」=「移動」させたものが
トランス脂肪酸です。
H
\ /
C = C
/ \
H
<トランス型>
すると、液体の油が個体になり、酸化にも強くなります。
ところで、
「植物油が原料なのに、常温で固まっているもの」は何?
それは、
「マーガリン」
です。
このように人工的に作られたトランス脂肪酸は不自然であるため、
脂肪を溜め込みやすくなります。
その結果、肥満や、肥満からくる生活習慣病を引き起こします。
また、トランス脂肪酸は「悪い脂質」なので、
これをとると、
悪い細胞、悪いホルモン、悪い体を作ってしまうことになります。
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トランス脂肪酸とは、
水素を添加することで
片方の炭素と水素のつながりを
逆側に「トランス」=「移動」させたもの。
トランス脂肪酸は、
肥満や、肥満からくる生活習慣病を引き起こします。
また、悪い細胞、悪いホルモン、悪い体を作ってしまいます。
なので、トランス脂肪酸をなるべく避けるようにしましょう!
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(参考)
その「油」をかえなさい!―――「油脂」をちょっと見直すだけで体は劇的に変わっていく!
さて、ここまで「あぶらのABC」について見てきました:
・オメガ9とオメガ3とオメガ6
これらの基礎知識があることで、
これからとった方がいい「あぶら」を
選択しやすくなるかと思います。
私たちの人生は、選択の連続です。
ご自身と大切な人のために
ぜひ体にいい「あぶら」を選択していきたいですね!
次回は、
「ココナッツオイルは体にいいか?」
についてお話しします。